2024.3.30
はじめに
UIデザインをしていると、ガイドラインに触れる機会は多い。
ただ、「とりあえず守るもの」として扱ってしまうと、思考が止まる。
なぜそのルールが存在しているのか。どの思想のもとに設計されているのか。
そこを理解しないまま使うと、UIはそれっぽくなるけど、本質的には弱くなる。
今回は代表的な3つのガイドライン
・WCAG
・Material Design 3
・Human Interface Guidelines
を比較しながら、それぞれの特徴と違いを整理する。
また、これらすべてに共通して、アクセシビリティやユニバーサルデザインの視点が組み込まれている点も重要だと感じている。
はじめに
1.WACG
2.material3
3.HIG
4.ガイドラインの比較
5.UIの比較
まとめ
WCAG は、アクセシビリティに関するガイドライン。
誰でも情報にアクセスできることを目的としており、視覚・聴覚・身体的制約などを考慮した設計が求められる。
例えば、コントラスト比やフォントサイズ、操作性など、UIの「最低限守るべきライン」が明確に定義されている。
これはデザインの自由度を縛るものではなく、むしろ「誰にも届かないデザイン」を防ぐための基準。
見た目の美しさよりも、まず伝わること。その前提を作るためのガイドラインやと思う。
デジタル庁が出しているガイドラインはこちらを参考にしている
2023年にリニューアル。
Material Design 3 は、Googleが提供するデザインシステム。
コンポーネントやレイアウト、モーションなどが体系的に整理されていて、一貫性のあるUIを効率的に作ることができる。
特徴的なのは、「柔軟性」と「スケーラビリティ」。
カスタマイズ性が高く、ブランドに合わせた表現がしやすい一方で、設計ルールはしっかりしている。
また、Material Designもアクセシビリティを前提とした設計になっており、色やコントラスト、操作性に関するガイドラインが細かく定義されている。
プロダクトをグロースさせる前提で作られているガイドラインやと感じる。
2023年にリニューアル。
Human Interface Guidelines は、Appleのガイドライン。
直感的な操作性や一貫した体験を重視しており、ユーザーが迷わず使えることにフォーカスしている。
Material Designと比べると、自由度はやや低いが、その分「体験の質」は安定する。
Apple製品らしい、シンプルで洗練されたUIは、このガイドラインによって支えられている。
また、HIGもユニバーサルデザインの考え方を取り入れており、誰でも扱いやすい操作性や情報設計が重視されている。
制約があるからこそ、体験の質が担保される設計やと思う。
3つのガイドラインは、それぞれ役割が異なる。
・WCAG:誰でも使える状態を担保する(アクセシビリティ)
・Material Design 3:効率的に拡張できるUIを作る(システム設計)
・HIG:一貫した使いやすい体験を提供する(体験設計)
ただし、これらは独立した考え方ではなく、どのガイドラインにもアクセシビリティやユニバーサルデザインの視点が組み込まれている。
どれが優れているという話ではなく、目的によって使い分けるもの。
ただ全部に共通しているのは、「ユーザーにとっての使いやすさ」を中心に設計されている点。
ここを外すと、どのガイドラインを使っても意味がない。
実際のUIを見ても、それぞれの思想の違いが出ている。
Material Designは、情報量が多くても整理されていて、機能的に扱いやすい。
HIGは、余白やシンプルさを活かして、直感的に操作できる。
WCAGはUIの見た目というより、その裏側で「使える状態」を支えている。
つまり、見た目の違いだけを比較しても本質は見えない。
そのUIが「何を優先しているのか」を見る必要がある。
ガイドラインは、守るためのルールではあるけど、それ以上に「設計思想の塊」やと思う。
表面的に真似するだけでは意味がなくて、なぜそうなっているのかを理解することが重要。
そして、その前提には必ずアクセシビリティやユニバーサルデザインの視点がある。
UIデザインは、自由に作っていいように見えて、実はかなり制約の中で成立している。
その制約を理解した上で使うか、ただ従うだけかで、アウトプットの質は大きく変わる。
ガイドラインを「正解」として扱うのではなく、思考のベースとして使う。
それができるようになると、UIの精度は一段上がると思う。