2026.04.29
ここ1年ほど、同じことをずっと考えている。
AIはツールなのか、それともインターフェースなのか。
最初は明らかにツールだった。
検索を助けてくれて、作業を効率化してくれる存在。
でも、今は違う。
AIは“入り口”になり始めている。
2023年のLLMは「賢い検索」だった。
質問すればそれっぽい答えが返ってくる。
日本語はグダグダ。
コードを書くときに便利ではあるけど、それ以上ではなかった。
でも2024年の頭から、明らかに変わった。
会話が成立する。
文脈を持つ。
思考を一緒に進められる。
この時点でUIいらなくなったらデザインはどうなるんだろうとうっすら思うようになった。
GPT-3oはそれくらいの衝撃だった。
今のプロダクトはすべてUI前提で作られている。
ECサイトも、SaaSも、アプリもそうだ。
ユーザーは画面を見て、操作して、目的にたどり着く。
でもAIが入り口になると、この前提が崩れる。
ユーザーはもうボタンを探さない。
画面遷移もしない。
フィルターも使わない。
ただ、「こうしたい」と言うだけだ。
すると裏側で処理されて、結果が返ってくる。
これはつまり、OSがAIになるということだと思っている。
自分で腹落ちするまでOSがAIってどういうこと?と、動画を見たりLLMに壁打ちしたりして考えた。
デザインの捉え方
私の中でのデザインの定義はシンプルだ。
デザインは、Business・Technology・Userをつなぐ構造設計である。

これまでのデザイン、いわゆるSmall Dは
ビジュアルや造形に重きを置いていた。
でも今は違う。
・企画
・体験設計
・実装との接続
これらすべてを含めたBig Dとして捉える必要がある。
その中心にあるのがUX/UIデザインであり、ユーザー・ビジネス・技術の交点を設計する役割を持っている。
⸻Iによって何が変わるのか
この構造にAIが入ると、意味が変わる。
これまでTechnologyは「実装」だった。
作る側の領域だった。
でも今は違う。
AIは、
・ 判断する
・ 提案する
・ インターフェースになる
つまり、意思決定の一部を担い始めている。
だからデザインの役割も変わる。
画面を設計することではなく、
構造そのものを設計することにシフトしている。
⸻EC体験はすでに変わっている
これは理論ではなく、実体験として感じている。
昔は服を探すとき、
アプリを開いて、カテゴリを探して、フィルターをかけていた。
でも今は違う。
気になるものを見つけたら、スクショを撮る。
そのまま検索して、似ているものを探す。
画像検索での似ているアイテムは、よりイメージしているアイテムに近いものがレコメンドされることに気づいた。
だが、このとき一番ストレスなのは、「その場で見つからないこと」だ。
これはUXとして致命的だと思っている。
だからこれからの前提は、
・画像検索
・レコメンド
・文脈理解
になる。
身近なところからじわじわと「探す」という行為自体が変わりつつある。
⸻SaaSも同じ方向に向かう
SaaSも同じ構造だ。
今のSaaSは、
画面があって、操作があって、学習コストがある。
でもAIが入ると、「これやっといて」で終わる。
つまり、操作という概念が消える。
今のSaaSの多くは、
・ルール化された業務
・UIベースの操作
・ABテストによる改善
で成立している。
正直に言うと、ここはかなりAIに置き換わるんだろうなと思う。
SaasはAIで回す、つまりSaasの死
ECの死も今年に入ってから言われるようになったが、
死というよりも…ECの世代交代かな?
今からEC作ろうとする企業は無くなっていくだろうなと思う。
ビジネスの現状
多くの企業は、AIに対して前向きな姿勢を見せている。
・ AIベースのプロダクトを作る
・ 高速でPDCAを回す
・ 効率化で利益を出す
これは理想。
でも実際は、既存事業とAIが繋がっている状態にはまだなっていない。
・PoC止まり
・部分最適
・無理やり既存フローに乗せている
この状態では構造は変わらない。
だから今必要なのはAIを使うことではなく、AI前提で再設計することなのではないか。
既存を覆すプロダクトが出てきたら一斉に模倣して流れができるだろうな。
ただ、それはその準備や体制が組織に整っている企業から到達していくはず
大企業病になっている組織はかなりしんどい状況になるのか…
ここが一番重要だと思っている。
AIによってデザイナーは不要になるのか。
ただし、今のままのデザイナーは確実に不要になる。
なくなるのは、
・UIを整えるだけの仕事
・コンポーネントを並べる仕事
・ABテストを回すだけの仕事
ここは正直、消える。
残るのは、
・問題設定
・体験の構造設計
・意味づけ
つまり、「何を作るか」ではなく「なぜそれを作るか」を設計する側なんだろう。
⸻ITからAIへの過渡期
今はまだUIもあるし、AIもある。完全には切り替わっていない。
だからこそややこしい。
でも同時に、一番チャンスのある時期でもあると思う。
特にデザイン。
デザインといっても、ビジネスデザイン
デザイナー、エンジニア、PMが1人で各々で開発するとする
AIに管理とKPI、KGIを壁打ちし、AIにコードとエンジニアリンングを任せる、AIでUIを作らせ、デザインスプリントを任せていく。
HCD理解と利益をUIにまで繋げる視点があるのはUXデザイナーだけにならないか?と。
コードが書けてビジネス視点があるUIUXデザイナーであれば1人で利益が出せるプロダクトが作れるのではないかと。
UIUXはスキルではなく、人間行動心理学など文献的な要素が強い。
デザインは思考するものだという認識が最近ようやく定着したこの国で
作業にこだわりを持つことをデザインとするデザイナーは少なくないはずだ。
アートやデザインの教育が遅れていた結果であり、自ら動かなかった人との間で
AIによって何かの差が開こうとしている気がする。
今のAIは、弱いAIと強いAIのちょうど中間にある。
完全に任せられるわけではない。でもただのツールでもない。
この状態が一番面白いかったりするのかも(嵐の前の静けさなのか、、?)
まだ人間の使い方で性能が変わる段階だから。
⸻自分の中で起きている変化
ここ1年ほどAIのナレッジを整理し続けている。
Notionにまとめたり、チームで共有したり、プロンプトを蓄積したりしている。
G検定のように体系的に学ぶことも大事だ。
でも実際に感じているのは、AIは知識ではなく関係性だということだ。
触って、ズレて、試して、修正する。
この繰り返しの中でしか理解できない。
LLMはまるで自分のクローンのようだなと思う時がある。
思想だけでは意味がないので、実践も書いておく。
社内では、ChatGPTのプロンプトを登録して、使用数で競う取り組みイベントがあった。
多くはキャッチーなものを作って数字を取りにいく。
でも私は、実務で使われるものだけに絞った。
その結果爆発的ではないが継続的に使われる形で数字が伸びた。
ここで分かったのは、
バズるものより、残るものの方が価値があるということだ。
意味のないことはしなくないという性格でもあるw 賞金も出るし。
・デザイン評価用のGPT
Material Design 3、
Human Interface Guidelines、
Web Content Accessibility Guidelines
これらを組み込んで、デザイン画像を送ると評価される仕組みだ。
これは正解を出すためではない。
考える基準を外部化するためのものだ。
・UXライティング
社内のルールをすべて入れ込み、一貫した文章を出せるGPTを作った。
AIは「作る」よりも、「揃える」ことに強いとわかる。
・日常的に壁打ち相手
要件整理、UI設計、KPI設計。全部一度AIにぶつける。
これは答えをもらうためではない。
思考を深くするためだ。
・Figmaアイコン生成のジェネレーター
目的はシンプルで、作業を減らして判断に時間を使うためだ。
⸻実践して分かったこと
AIは魔法ではない。
でも、使い方次第で構造を変えることができる。
今話題の「2034年」という本を読むと、綺麗にAIについてのことがまとまっていた。
言うている間にAGIがくるだろう。どこから崩れてくるか…
すでに、
・検索
・EC
・一部の業務
は変わり始めている。
AIは未完成だ。
でももう元には戻らないから、今やるべきこと
・触る
・作る
・使う
・改善する
これを繰り返すしかない。
これは技術の話ではなく人間が何を設計するかの話だ。
まとめ
・AIはツールから「入り口(OS)」に変わりつつある
・UI前提のプロダクトは崩れ始めている
・ECもSaaSも「操作」から「対話」に変わる
・企業はAIを掲げているが、事業と繋がっていないケースが多い
・デザインは「作る」から「構造を設計する」へシフトしている